ヤミ金は完済すれば取り立てなど解決できる?

要約:少額の借金であればヤミ金でも無理なく完済できるのではないか、このように考えて利用する人もいるようです。しかしヤミ金は完済させないためにいろいろな手法を駆使しています。一度手を出してしまうと最後になると思ったほうがいいです。

 

ヤミ金を利用して苦しんでいる人の中には、最初借りるときにヤミ金とわかっていて利用する方も少なくありません。「借りるのは数万円程度、これなら完済できるのではないか?」このように思ってしまうからです。しかし結論から言うと、ヤミ金の借金を完済するのは至難の業です。

 

暴利によって借金は膨らみ続ける

ヤミ金が完済できない理由、それは金利にあります。通常の金融業者よりも高い利率に設定することで、どんどん利息の支払いを大きくして元本が返済できないからくりになっています。どのような金利設定になっているか、それは業者によって異なります。よく言われているのはトイチです。10日で1割の利息が発生することです。しかし現在ヤミ金業者の中でもトイチで営業しているところがあれば、業界ではむしろ良心的(?)なところかもしれません。

 

現在のトレンドになっているのは、トゴです。トゴとはトイチと同じような発想で、10日で5割の利息を取ることです。そのほかには週三・週四と呼ばれる言葉もあります。これは1週間でそれぞれ3割・4割の利息が発生するシステムです。それぞれ年利で見ると、トイチ365%・トゴ1825%・週三1564%・週四2085%になります。利息制限法では年利の上限が10万円未満20%・100万円未満18%・それ以上15%です。いかに高利であるかこれだけでもお分かりでしょう。

返済期日までの期間が短い

ヤミ金は完済できないシステムである、その理由として返済期間があります。先ほど見た金利を見ると「10日」や「1週間」といった期間を単位にしています。通常のキャッシング業者なら、1か月に1度のペースで返済期間を設けています。1か月間の猶予があれば給料などでお金を準備できるでしょう。しかし10日や1週間でお金を準備するのはかなり厳しいです。そもそも手元にお金がないから借りるわけであって、それから10日・1週間でお金を準備できる人は限られるでしょう。返済できなければ、利息がどんどん加算されます。結果的に返済額が雪だるま式に増えるので、どこかで行き詰ってしまうパターンが多いわけです。

勘違いしやすいジャンプとは

ヤミ金というと、返済できないと執拗な取り立てに合うようなイメージを持つ人もいるでしょう。しかし中には親切なように見える業者もあります。例えば返済期日までにお金を準備できないと、「では利息だけの支払でもいいですよ」と言ってくる業者もあります。全額の返済ができなくても利息だけなら何とか準備できるという人はいるでしょう。すると「助かった」と思う人もいるかもしれません。しかし利息だけ支払っただけでは、元本は一切減りません。すなわち次の返済時でも同じだけの利息が発生することになります。このような手法を業界内では「ジャンプ」といいます。

 

返済できない→利息の支払いをする→元金・利息は変わらず→また返済できない→利息だけの支払をする…これのループに陥ってしまう人もいます。全く元本が減らずに、永遠返済を繰り返す状況に陥ってしまうわけです。5万円をトゴの計算で借り入れたとします。この場合10日に1回、半分の2万5000円を利息として支払います。これでジャンプを繰り返すと1か月経過して7万5000円の支払いをしているにもかかわらず、元本は1円たりとも減っていないのです。このような理不尽な返済システムになっているので、「早めに完済すればいいや」と安易に思わないことです。

いちゃもんをつけて返済を邪魔するケースも

ヤミ金の中には、返済できる人にも返済させずに利息をむさぼるケースもみられます。これは実際にネットに投稿されたヤミ金の体験談です。トゴの業者から予定外の出費で1万円を借りました。この人は10日後には給料日がある、利息含めて1万5000円程度なら返済できると思って借りたそうです。そしてお金を準備して業者から「返済日に振込先を教える」といわれていたので当日に連絡を取りました。すると「関西の場合には前日の10時までに連絡しなければならない」といわれてしまって「今回は利息分だけを支払うように」との指示を受けました。

 

次回に利息含め2万5000円を返済すればいいと思って連絡を取ったところ、何度コンタクトをとっても応答がありませんでした。そして翌日になったら電話がつながって「連絡がなかったので関西の処理ができない」といわれてしまいました。結局返済期日に完済ができずに、結局利息だけを支払い続ける羽目になってしまったということです。

そもそもヤミ金の借金は返済義務がない

このようにいろいろなやり口で完済できないようにするのがヤミ金のやり方です。「少ない金額の借り入れだから完済できるだろう」と思って、安易に手を出すべきではないです。そもそもヤミ金は違法業者です。このため利息はおろか、元本も返済の義務はありません。これは平成20年6月10日に最高裁でも判例があります。ヤミ金からお金を借りて返済できなくなっているのであれば、借金問題専門の弁護士や司法書士に相談することです。